近年、最も注目されている栄養素のひとつがタンパク質です。
『人生100年時代』や『健康寿命』といった考えが普及し、タンパク質が身体を形成するために欠かせない栄養素として認識されるようになりました。テレビや雑誌でもタンパク質に関する特集を目にすることが増え、ドラッグストアやスーパーマーケットでもプロテイン製品を見かけることが多くなりました。
皆さんの周りでも、家族や友人との会話の中でプロテインが話題に上ることがあるのでは?
間違った情報で失敗しないように、なぜタンパク質が必要なのか? なぜプロテインを摂取した方が良いのか? を正しく理解することが重要です。
私たちの身体は、60%が水分、15~20%がタンパク質で構成されています。
つまり、水分を除くと約半分がタンパク質だということです。
これらのタンパク質は、筋肉や内臓、皮膚、髪の毛、爪だけでなく、ホルモンやヘモグロビンなど、体内のさまざまな役割を果たしています。
20種類のアミノ酸の異なる配列によって構成されており、そのうち9種類は必須アミノ酸と呼ばれ、体内で生成することができないため、食事から摂取する必要があります。
残りの11種類は非必須アミノ酸と呼ばれ、体内で合成することができます。
アミノ酸の種類によってそれらの働きは異なり、すべてのアミノ酸が身体に重要な役割を担っています。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、現代人の食生活ではタンパク質の摂取量が年々減少しているという結果が出ています。この40年間で、1日に摂取するタンパク質が約10g以上も減少し、戦後と同じ水準にまで落ち込んでいます。
食生活が豊かになったはずなのに、なぜ現代人のタンパク質が不足しているのでしょうか?
その原因のひとつとして、肉類の摂取量が増加し、一方で魚介類の摂取量が減少していることが挙げられます。
肉類は魚類に比べグラム当たりに含まれる脂肪量が多いのですが、同時に含まれるタンパク質量は少ないため、肉類のみを量多く摂っても結果的にタンパク質の摂取量が減少してきてしまうわけです。
もう一つの原因として、食事量の減少が挙げられます。
メタボ予防対策やダイエット志向から、現代人は意識的に食事量を減らす傾向にあるといわれています。さらに、高齢化に伴い食が細くなるだけでなく、面倒だからという理由で粗食になり食事量が減っているケースもあります。こうした原因によってタンパク質の摂取が減少すると、多くの弊害が発生します。
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① 筋力が低下する
② 免疫力が下がる
③ 皮膚・髪に影響がある |
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1日に摂取したいタンパク質の量
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男性 15〜64歳が65g、65歳以上が60g
女性 12〜17歳が55g、18歳以上は50g
〈厚生労働省による、1日のタンパク質の食事摂取基準(2020年版)〉 |
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タンパク質不足を解消するために
◆食事の見直し◆
忙しい毎日、つい食事を抜いたり、コンビニのおにぎりや菓子パンだけで空腹を満たしたりということはありませんか? 心当たりのある方は、毎日の食生活を一度見直して、タンパク質を含む食品を意識して食事に取り入れてみましょう。
忙しい方や食事を作る時間のない方は、缶詰(サバ・サンマなど)や切るだけで良い蒲鉾などがおすすめです。肉や魚、卵といった動物性タンパク質の他に、豆類やナッツ類、野菜からもタンパク質を摂ることができますので、メニューに合わせて上手くタンパク質を摂取するように意識してみてくださいね。
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鶏もも肉 [皮付き100g]・・・・・
鶏ささみ肉 [100g]・・・・・・・・・
牛もも肉 [100g]・・・・・・・・・・・
豚もも肉 [100g]・・・・・・・・・・・
マグロ [赤身100g]・・・・・・・・・
サバ [100g]・・・・・・・・・・・・・・・
鮭 [100g]・・・・・・・・・・・・・・・・・
サンマ [100g]・・・・・・・・・・・・・
イカ [100g]・・・・・・・・・・・・・・・
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17.3g
24.6g
19.2g
20.5g
26.4g
20.6g
22.3g
17.6g
17.9g
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牛乳 [200㎖]・・・・・・・・・・・・・・・
豆乳 [200㎖]・・・・・・・・・・・・・・・
プレーンヨーグルト [100g]・・
プロセスチーズ [18g]・・・・・・・
卵 [1個50g]・・・・・・・・・・・・・・・・
納豆 [1パック50g]・・・・・・・・・・
木綿豆腐 [1/3丁100g]・・・・・・
高野豆腐 [1個16.5g]・・・・・・・・
枝豆 [100g]・・・・・・・・・・・・・・・・
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6.6g
7.2g
3.6g
4.0g
6.2g
8.3g
6.6g
8.5g
11.7g
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◆プロテインを利用する◆
基本的には食事から摂るのが理想ですが、食事だけで1日に必要なタンパク質を摂取するのはなかなか難しいのが現実です。さらに、加齢に伴って消化や吸収、栄養素の合成能力が低下するため、効率的にタンパク質を摂取するためにはプロテインパウダーやプロテインバーなどのサプリメントの利用がおすすめです。
これらのサプリメントは、動物性や植物性など様々なタイプやフレーバーがあり、好みや目的に合わせて選ぶことができます。プロテインパウダーは水や牛乳に混ぜてシェイクするだけで、簡単にタンパク質を効率よく摂取することができます。
食事と一緒に摂取することが一般的ですが、運動をされている方はトレーニングの前後に摂取することが効果的です。 トレーニング前に摂取することで筋肉のエネルギー供給を支援し、トレーニング後に摂取することで筋肉の修復や成長を促進します。
タンパク質サプリメントを利用する際は、自身の目標や個々の身体に合った種類を選ぶことが重要です。
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ホエイプロテイン : ホエイプロテインは乳製品から抽出されます。消化が容易で吸収率が高いため、トレーニング前後の摂取に適しています。また、多くの必須アミノ酸を豊富に含んでいます。特に、BCAA(分岐鎖アミノ酸)であるロイシン、イソロイシン、バリンが豊富に含まれています。これらのアミノ酸は、筋肉合成に重要な役割を果たします。
カゼインプロテイン : カゼインプロテインも乳製品から抽出されますが、ホエイとは異なり、カゼインはゆっくりと消化されます。吸収が遅いため、就寝前の摂取に適しています。夜間中に筋肉を保護し、修復を促進する助けとなります。多くの必須アミノ酸を含んでいますが、ホエイに比べて含有量は少ない場合があります。ただし、カゼインは長時間にわたってアミノ酸を供給するため、持続的なタンパク質摂取と筋肉の修復や保護を支援します。
大豆プロテイン : 大豆プロテインは大豆から抽出されます。必須アミノ酸を全て含む完全なタンパク質源です。植物性であるため、ベジタリアンやビーガンの人々に適しています。また、動物性のタンパク質源よりも脂肪やコレステロールの含有量が低いことが大きな利点です。さらに、アレルギーのリスクが低いのも特徴です。大豆プロテインは、消化が比較的容易であり、吸収されやすい特性があります。消化後に筋肉に直接供給されるため、筋肉の修復や成長を促進するのに役立ちます。大豆に含まれるイソフラボンや食物繊維などの栄養素が健康に良い影響を与えることが明らかになっています。
他にもピープロテイン、米プロテイン、ヘンププロテインなどがあり、それぞれが独自の利点と特性を持っています。
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プロテイン製品には、消化速度を調整したり、利点を組み合わせるために複数のタイプのプロテインをブレンドしているものもあります。
プロテインを選ぶ際にはアミノ酸スコア(アミノ酸をどの程度バランスよく含んでいるかを示す指標)や消化や吸収の速さ、不純物や添加物の有無、アレルギーの有無、価格、味や風味なども考慮すべき要素です。総合的な観点から、自身の目標や体質に合ったプロテインを選択することが大切です。
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